飛ばないバットはいつから導入された？高校野球へもたらす影響
高校球児のなかには「ボールが飛びにくい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
その背景には、高校野球で使用されるバットの規格変更、いわゆる「飛ばないバット」の導入があります。この記事では、飛ばないバットがいつから導入されたのか、その特徴や理由、そして高校野球にもたらす影響について詳しく解説します。
また、飛ばないバットに適応する方法も紹介するため、高校球児もしくは親はぜひ参考にしてみてください。
高校野球における「飛ばないバット」とは？
「飛ばないバット」とは、従来の金属バットとは異なり、反発力をあえて抑えているバットを指します。2022年にバットの新基準が発表され、移行期間を経て、2024年春に完全導入されました。
ここでは、飛ばないバットの特徴や移行した理由を詳しく解説します。
飛ばないバットの特徴
新しく導入された飛ばないバットは、従来の金属バットと異なり反発力が抑えられています。従来の金属バットとの違いは以下の通りです。
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飛ばないバット |
従来の金属バット |
|
|
最大直径 |
64mm未満 |
67mm未満 |
|
打球部の厚み |
約4mm |
約3mm |
このように、従来のバットに比べて厚さを増したり、最大直径を縮小したりすることにより、ボールを打った際の反発力を低減させました。数字にするとわずか数ミリの違いですが、低反発バット導入後には、甲子園大会のホームラン数が減少しています。
飛ばないバットに移行した理由
飛ばないバットに移行した理由として、以下が考えられます。
・高校野球における安全性の向上
・打高投低のバランス調整
・木製バットへの移行を見据えた育成
特に、安全性の向上が理由として挙げられます。従来の金属バットは反発力が高く、投手方向へのライナーを放つ、いわゆる「ピッチャー返し」を回避することが難しい状況でした。このような背景から、怪我をするリスクが高いため、投手の安全を確保するために実施されたと考えられます。
また、投手の酷使が問題視されている高校野球において、打高投低のバランス調整が必要でした。バットの性能がよいあまり、打ち取った打球がヒットになったり、泳ぎながらのスイングでも長打になったりする現状があったため、新基準のバットが導入されています。
さらに、日本のアマチュア野球では、大学野球から木製バットの使用が義務付けられています。金属バットから木製バットへの対応は難しく、大学や社会人野球で活躍できないケースもあります。高校生が低反発バットでバッティング技術を磨くことで、日本のアマチュア野球のレベルアップにもつながるでしょう。
飛ばないバットはいつから導入された？
飛ばないバットは、2年間の移行期間を経て、2024年の春から完全導入されました。今回の高校野球連盟による新基準制定は、実に23年ぶりです。
前回の基準見直しは、2001年の打撃性能を抑制するための基準改正でした。金属バットの高い反発性能やパワーアップした選手の増加によって、打者有利な状況が深刻化したため、反発力を抑えたバットの基準が定められています。
高校野球で使用できるバットの種類
日本高校野球連盟が定めている、高校野球特別規則（2024年版）によると、高校野球で使用できるバットは以下の4種類です。
・木製バット
・木片の接合バット
・竹の接合バット
・金属製バット（SG基準に適合した、SG基準にマーク添付の製品に限る）
引用：公益財団法人 日本高等学校野球連盟｜高校野球特別規則（2024年版）
下表では、素材ごとの特徴をまとめているので、バット選びの参考にしてください。
|
比較項目 |
竹バット |
木製バット |
金属バット |
|
|
打感 |
△ |
◯ |
◯ |
|
|
耐久性 |
◯ |
△ |
◯ |
|
|
費用 |
◯ |
△ |
✕ |
|
|
メンテナンス |
◯ |
△ |
◯ |
|
|
使用用途 |
練習用 |
◯ |
◯ |
◯ |
|
試合用 |
△ |
◯ |
◯ |
|
高校野球において、練習では竹バット、試合では金属バットか木製バットを使用するのがおすすめです。
金属バットが折れたり、割れたりするケースはあまり見受けられません。しかし、練習で酷使すると、金属疲労を起こして徐々に反発力が弱まります。
試合で一番よい状態で金属バットを使用するために、練習ではコスパに優れている竹バットを使用しましょう。
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飛ばないバットがもたらす高校野球への影響
飛ばないバットの導入により、高校野球は大きく変わりました。一番の影響はホームラン数の減少です。2022年～2025年の選抜高等学校野球大会の本塁打数をまとめたのでご覧ください。
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開催年 |
参加校数 |
本塁打数 |
|
2022年 |
32校 |
18本 |
|
2023年 |
36校 |
12本 |
|
2024年 |
32校 |
3本 |
|
2025年 |
32校 |
6本 |
引用：第91回～第95回大会|出場校一覧|選抜大会|日本高等学校野球連盟
：第96回～第97回|出場校一覧|選抜大会|日本高等学校野球連盟
上表を見てわかる通り、飛ばないバットに完全移行した2024年からは本塁打数が減少しています。
また、同年の夏の甲子園では、早稲田実業が「内野5人シフト」で得点を防ぐシーンが見られるなど、今まで見られなかった守備シフトが増えました。これからの高校野球は、少ないヒットやチャンスを得点に結びつけるために、機動力を活かした野球が増えると予想されます。
飛ばないバットに適応するには
前述した通り、飛ばないバットの導入により、高校野球は大きく変化しました。これからの高校野球で結果を出すには、どのような対策が必要なのでしょうか。
最後に、飛ばないバットに適応するための対策を紹介します。
バッティングスタイルを変える
飛ばないバットに適用するには、バッティングスタイルを変える必要があるでしょう。飛ばないバットで無理に飛距離を伸ばそうとすると、バッティングフォームを崩す原因になります。
飛距離を伸ばすには、体やバットの使い方が重要になるため、バッティングの基礎をしっかりと固める必要があるでしょう。以下の動画では、バッティングにおける正しい体の使い方を解説しているので、気になる方はぜひご視聴してみてください。
「竹バット」を活用する
飛ばないバットで結果を出すために、普段の練習から竹バットを活用しましょう。竹バットは、通常のバットに比べると芯が狭い設計になっています。そのため、前に飛ばすには高いミート力が求められるため、低反発バットに近い感覚で練習を行えます。
また、竹バットでの練習を繰り返すことで、ボールを遠くに飛ばすためのスイングを効率的に身につけられるのでおすすめです。このように、竹バットは飛ばないバットに適応するための効果的なアイテムとなるでしょう。
まとめ
飛ばないバットの導入は、投手の安全性を高めるとともに、選手の技術力向上を促すために実施されました。選手たちは、新しいバットに適応するために、バッティングスタイルを変えたり、竹バットを活用したりするなど、さまざまな努力が必要です。
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今後の高校野球では、より緻密な戦術と高度な技術が求められます。AIM CLASSICOを活用し、打撃技術を磨いてみてはいかがでしょうか。
